大昔は野生のミツバチの巣から蜂蜜を採るとき、蜜のたまった巣を押しつぶして採ったので、
その副産物として蜜ろうが採れました。
そのうち、蜂蜜を採るためにミツバチを飼うようになりました。
養蜂の歴史において、B.C.3000年前までに多量のロウソクを利用する技術がすでにあったようです。
それはクレタ神話の「イカロスの翼」の物語があったことからうかがい知ることができます。

   
クレタ神話「イカロスの翼」
    イカロスという少年が蜜ろうで翼を作ってクレタ島を飛び立って、エーゲ海の上を飛び回っていましたが
    あまりにも高く舞い上がりすぎたため、太陽の熱で蜜ろうが融け、まっ逆さまにエーゲ海に落ちて
    命を落としてしまったという物語です。


古代エジプト人はナイル川を利用して移動養蜂を行い、採れた蜜ろうをミイラ作りに使用したり、
ピラミッドや墓に埋葬する猫や鷲やその他の像の精巧な型を作るのに使用していました。
よく知られているのには、オリシス神の頭部の型や神聖なカブトムシであるスカラベのレプリカがあります。

古代ローマには、ラブレターに蜜ろうを塗った板の便箋を交換するシステムがありました。

ヘロドトスによると、古代ペルシャ人は重要な人物が死ぬと、埋葬の前に蜜ろうで体を覆っていたそうです。
最近のイングランドでも、死者は木製の棺桶に入れるよりもむしろ、ろう引き布でくるんで埋葬されていました。

古代ギリシャでは日常的にオイルの瓶やワインの壺を蜜ろうで封印していました。
今日でも自家製のジャムは蜜ろうの平板で封印されています。

ローマ人がB.C.181年にコルシカ島を征服したとき、1年に100,000ポンドの蜜ろうを税として課していました。
またローマ時代には、権力者の権威の証明や文書がその権力者の意思として刻印が使用されていましたが、
それは蜜ろうに少し松ヤニを混合したもので作られており、丈夫なものであったようです。

このように蜜ろうは必需品として価値の変わらないものとして
認識されていたので、十分の一税や地代は多量の蜜ろうで充てられていました。


西洋では、キリスト教が広まっていくにつれて、教会の祭壇に灯す明かりとして
ミツバチの巣から採った蜜ろうで作ったろうそくを捧げてきました。
4世紀にキリスト教はローマ教皇に認められ、教会では献火のための蜜ろうそくが重要になりました。
寺院や修道院でも蜂蜜を採るためだけではなく、蜜ろうを採るためにミツバチを飼っていたほどです。
今日まで、カトリックの教会では、蜜ろうそくは昇天祭と復活祭の間の40日間、礼拝行事に灯されています。
祭壇のろうそくは現在も蜜ろうが含まれていなければなりません。

このようにキリスト教をはじめ、ヨーロッパの文化とミツバチは非常に深い関係があることがお分かり頂けると思います。
大昔から人々はミツバチを飼って蜜ろうを採り、その特性をいかして様々な場所で用いてきたのです。
今も昔も、蜜ろうは私達の身近にあるものなのですね。
35.5℃

Q1.ミツバチはどうやって蜜ロウを作るの?
  

 
A.ミツバチは蜂蜜を体の中で変化させて、蜜ロウを作ります  

    
不思議なことにミツバチは、蜂蜜を体内でロウに変えることができます。
   みなさんもご存知の六角形の巣房が集まって出来た、ミツバチの巣♪
   蜜ロウはミツバチの巣の巣房を作るために必要なんですよ。
   巣を作るときに、ミツバチは腹部のロウ腺という器官から蜜ろうを分泌し
   それを口で加工して六角形の巣を作っていきます。
   若い働き蜂の腹部から分泌されたろう片は美しく色は透明ですが、
   巣を作る際には、ロウ分以外に花粉やプロポリスなどが含まれるため
   完成した巣は黄色みを帯びています。   
   蜜ろう(ビーズワックス)の色が同じでないのは
   集めた花の蜜の種類によって花粉の色素が様々だからです。

蜜ろうの歴史
 ハードワックス        石炭から合成したもの。地中海周辺で多く産出され、乳白色フレーク状の原ロウで輸入されます。
                  ほとんどの溶剤に溶解しません。 融点は95〜105℃と高めです。
                  イボタロウの代用品として桐タンスの仕上げにも利用されます。
蜜ろう Q&A

蜜ろう           はちみつがミツバチの体内でロウ物質に変化したもので、食べても害はありません。
               木製品のつや出しとしても使用されています。

【 代表的なロウの種類】
ミツバチはどうやって蜜ロウを作るの?
蜜ロウは何に使われているの?
蜜ロウにはどんな種類があるの?
他のロウとはどこが違うの?
   白ろう           木ろうを天日で干して漂白したもの。木ろうよりもやや硬度が高く、つや出し用として利用します。

   パラフィンろう        石油から合成したもの。ロウソクの他、家具や敷居等の摩擦面の滑りをよくします。
  
   木ろう           ハゼの実から抽出したもの。融点が低い。和ロウソクの原料になります。
                  黒檀・紫檀の唐木類のつや出しに向きます。

                  ろうけつ染めにも使用されます。
Q2. 蜜ろうは何に使われているの?


 A.安全な天然物質ですから、直接肌につけるものやべ物などに多く含まれています。

    
化粧クリーム、口紅など化粧品や医薬品の基剤、チューインガム、
   食品のコーティングやクレヨン、幼児用粘土などに幅広く使われています。
   また、蜜ろうそくの用途としては、お花の業界(フラワーアレンジメントの材料、オーナメントなど)、
   キリスト教の教会、芳香療法(アロマテラピー)、自然派志向(ススが出ないため)のアウトドア用品
   などがあります。
ミツバチ
の唾液
(酵素)
蜜ロウを作るには、その10倍の量の蜂蜜が必要。
ミツバチ1匹が一生かけて集める蜂蜜の量は、わずか小さじ1杯。
Q3. 蜜ろうにはどんな種類があるの?

 
A.「未精製蜜ろう」(天然色)・「精製蜜ろう」(白色)と精製蜜ろうを着色した「着色蜜ろう」(赤・青など)の
    3種類です。
   それぞれブロック状(量売り)・シート状・チップ状があります。



   
本来の蜜ろうの色(天然色)は黄色っぽい色をしています。
   これは「Q1」でも説明させていただいた通り、花の花粉などが含まれるためです。
   もちろん天然色の「未精製蜜ろう」は何にでもお使い頂けますが、用途によっては
  「精製蜜ろう」や「着色蜜ろう」を使ってカラフルな作品を作ることが出来ます♪

  
これらの蜜ろうはブロック状(g単位)、ハチの巣のような型押しのシート状(1枚単位)や

  
使いやすいように小さく削ったチップ状(g単位)で販売されています。
「蜜ろう Q&A」では蜜ろうがどういうものかご存知ない方のために、
Q&A(質問と答え)の形式でご紹介しています。
蜜ろうはどうやって作られるの?
蜜ろうは他のロウとどこが違うの?など、
分かりやすいように図などを使ってまとめてみました。 ぜひご覧くださいね♪
 カルナバロウ        南米産のシュロ科植物から抽出したもの。
                  イボタロウの代用としてつや出しに使用します。
                  光沢剤(靴クリーム、化粧品)の原料としても使われます。

            ↓

  
花の蜜  ----------->  蜂蜜  ----> ミツバチ体内  ---->  ロウ腺  ---->  蜜ロウ
            ↑                                         (Beeswax)

               
 
 
【蜜ろうができる仕組み】
蜜ろうの歴史
【巣の中】   醸成
Q4. 他のろうとはどこが違うの?

 . ロウには蜜ろう以外に、パラフィンろう、木ろうなどがあります。

   
一般的によく使われる「パラフィンろう」は石油から抽出して作られます。
   それに対し、「蜜ろう」は蜂蜜が原料の天然素材♪
   蜜ろう」は環境に優しいので、ナチュラル志向の方に好まれ愛用されています。

   
「蜜ろう」は「パラフィンろう」に比べて低い温度(通常64℃)で溶け出して燃えます。
    火を灯すと、赤みを帯びた柔らかい光を放ち、蜂蜜のような甘い香りがほのかに漂います♪
   油煙の出ませんし、唯一の食ロウなので、食べても害がありません。

「蜜ろうの歴史」では、人とミツバチ(蜜ろう)の歴史を少しご紹介しています。
古代エジプトでは蜜ろうはミイラを作る材料として用いられていました。 \(゚o゚;)/ウヒャー
ヨーロッパでは神聖な場所で使うものとして、今も昔も大切に扱われています。
人の歴史と蜜ろうとの歴史はなかなか面白いですよ♪
  イボタロウ          イボタロウムシの分泌物から抽出したもの。
                  タール系溶剤に融けないため、防水加工の際は特によい。
                  桐タンスのつや出し・仕上げ用に利用される。